原因
股関節症は、関節の痛みと機能障害が主な原因になります。股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることになります。一方日常生活では、足の爪切りがやりにくくなったり、靴下が履きにくくなったり、和式トイレ使用や正座が困難になります。また長い時間立ったり歩いたりすることがつらくなりますので、台所仕事などの主婦労働に支障を来たします。階段や車・バスの乗り降りも手すりが必要になります。
原因病態
股関節痛を引き起こす疾患で最も多いのは、変形性股関節症ですが、その他にもいろいろな疾患があります。
• 変形性股関節症• 先天性股関節脱臼(成人・乳児)• 臼蓋形成不全症• 外反股• ペルテス病(子供特有の病気)• 大腿骨頭すべり症• 弾発股• 大腿骨頸部壊死• 特発性大腿骨頭壊死• 恥骨骨炎(グロインペイン症候群)• 仙腸関節の疾患• 股関節頸部骨折• 股関節捻挫など。
診断
診断は上記の症状がある場合、単純X線(レントゲン)写真を撮って確定します。ごく初め(前期関節症)では関節がきゃしゃであったり変形しているだけですが、関節症がすすんで初期関節症になると、関節の隙間が狭くなったり(軟骨の厚さが薄くなる)、軟骨下骨が硬くなったり(骨硬化)します。
さらに進行期関節症、末期関節症となると、関節の中や周囲に骨棘とよばれる異常な骨組織が形成されたり、骨嚢胞と呼ばれる骨の空洞ができたりします。最終的には体重がかかる部分(荷重部)の関節軟骨は消失し、その下にある軟骨下骨が露出します。問診や診察などのあとで、股関節の可動域制限やX線写真をみて診断します。必要に応じてCTとMRIなどの検査を行います。股関節は、人体のなかで一番大きい関節です。頭・首・肩・上肢・胴体・骨盤など重みを受けとめ、なおかつ、大きな動きをする関節で、全身の要でもあります。股関節は骨盤とつながり、骨盤は脊柱(腰椎・胸椎・頚椎)とつながっていますから、体のどこかに歪みがあると、股関節に負担をかける結果となるのです。股関節の痛みは、股関節にあるのではなく、 原因は他にあって、たまたま股関節に不具合(しわ寄せ)がきたただけです。ですから、股関節の痛みを改善するには、全身の調整が必要です。また、スポーツをしていて股関節を痛める人が多いですが、歪みのせいで正しいフォームが取れない状態で繰り返し運動を行うためだと考えられます。