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取手 骨折

今日は、骨折に併せて発生する症状。

併発症をご紹介したいと思います。

併発症とは、

a.関節損傷

b.筋腱などの軟部組織損傷

c.内臓損傷

d.脳脊髄損傷

e.血管損傷

f.末梢神経損傷

上記6種類に分けられます。

物々しい名前がついていますよね。

皆さんはこの中でどれが一番重篤だと思うでしょうか?

c.内臓損傷 d.脳脊髄損傷 f.末梢神経損傷 などはただ事ではない雰囲気が出ていますよね。

ですがしかし。

この中で一番怖いのは、b.筋腱などの軟部組織損傷なのです。

疑問に思う方も多いことかと思います。

明らかに、筋腱よりも内臓・脳脊髄・末梢神経の方が生命に直接関わる器官です。

にも拘らず、なぜ筋腱などの軟部組織損傷が怖いのか?

それをこれから説明したいと思います。

併発症における筋腱などの軟部組織損傷において、

重篤なものに『筋挫滅症候群』というものがあります。

別名『クラッシュシンドローム』とも言います。

何人かの方はこのクラッシュシンドロームという名称を聞いたことがあるのではないでしょうか??

日本国内においては阪神淡路大震災を契機に取沙汰されたかと思います。

実はこのクラッシュシンドローム、

無自覚のまま気が付いたら死に至る確率が高いのが特徴なのです。

阪神淡路大震災においてこんな話が多数あったそうです。

倒壊した家屋の中で家具などにに挟まれて身動きが取れず、

ようやくの思いで救出された方々。

救護者が病院での応急処置を呼びかけるも、

『自分は挟まれて動けなかっただけで、ちゃんと歩けるし大したことはない』

『それよりも、近所の○○さんの方が足が不自由で大変に違いないからそっちの救出をお願います』

『避難場所へは一人で行けますから』

何ともない様子で避難所に向かい歩き出す救出された方。

その様子に安心した救護者は次の救護へと向かうのですが。

翌日、救出されて一人で歩いて避難所に向かったその方は避難先で静かに息を引き取っていたといいます。

共通して多く見られた特徴は、苦しんだ様子もなく微笑を浮かべたまま寝ている様子だったことだそうです。

その特徴から『スマイル・デス』とも呼ばれています。

さて、なぜこのようなことが起こるのか。

長時間がれきなどに圧迫され続けていた筋肉は血流不全から壊死を起こし、

血中に混じると毒素となるカリウムなどが蓄積されます。

そして、がれき等の圧迫から解放された瞬間に一気に血流が起こることでカリウムなどの毒素が血中に混じって全身にまわります。

結果、毒素の影響によって心臓などの機能が低下し気が付いたら眠ったかのように亡くなっている。

一命をとりとめたとしても、その後の腎不全によって亡くなる確率も高いです。

カリウムが全身に回った場合は人工透析以外は助からない、とも言われています。

阪神淡路大震災以降、クラッシュシンドロームの危険性から必ずしもすぐに瓦礫から救出することがベストではないと、

救護の在り方も変わっているようです。

少し不安を煽るような内容になってしまったでしょうか?

ですがしかし、明日は我が身に起こりうることでもあります。

クラッシュシンドロームは救出された直後は症状が特にないケースが多く、

重症でも分かりにくいため、見落とされてしまう場合が多いようです。

以下にあてはまる場合は、クラッシュシンドロームを疑っておきましょう。

・2時間以上にわたり腰、腕、腿などが、がれきの下敷き状態であった

・軽度の筋肉痛や手足のしびれ、脱力感などの症状がある

・尿に血が混じり、茶色の尿が出る

・尿の量が減る

など。

何も知らなければスマイル・デスを迎えるだけですが、

少しでも知識があれば対処できることもあります。

その知識の有無が自分の大切な人の命を左右しかねないのであれば、

覚えておいて損はないのではないでしょうか。

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